なぜ高級車であるレクサスが売れている、人気なのかを改めて考えてみる

若者のクルマ離れが叫ばれるなど日本の自動車市場が伸び悩み、売れるのは安価な軽自動車や機能性の高いミニバンばかりなのに、高価なレクサスはなぜ好調なのでしょうか。

あらためてレクサスとは


出典:ウィキメディア

レクサスはトヨタのプレミアムブランドという位置付けで、ドイツ車を始めとした輸入ブランドをライバルとするため、販売店も販売する車種も既存のトヨタ車とは異なる独自の展開をしています。同クラスのトヨタ車と比べると価格もかなり高額設定なのに、次々と投入する新規車種も順調に売り上げ、人気も高いのはどうしてなのでしょうか?そのレクサスの魅力をご紹介します。

1989年に米国で発売を開始したレクサスは、メルセデス・ベンツやBMWなどのドイツ製高級車に匹敵する品質や安全性と、日本車ならではの信頼性や経済性とを両立させ、なおかつリーズナブルな価格設定でそれまで不可能とされた日本製高級車市場にその足場を築きました。

日本でのレクサス


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日本においては、高級車マーケットは輸入車人気の影響もあり、依然として欧州車の独擅場でした。レクサスも2002年に導入された当初は、トヨタブランドと事実上同じ車種でのスタートであったため、割高感ばかりがクローズアップして苦戦した時期もありましたが、2006年に発売された4代目レクサスLSでは、それまでのトヨタセルシオが終了したことから専用車種となり一気にブレイク。以降、専用車種が増えるにつれその存在感を増しています。

レクサスの特徴

トヨタブランドの同クラス車種と比べて平均して100万円~150万円も高い設定のレクサス車には、それなりの理由があります。全車種に共通するのは徹底した高品質です。高級感ではなく本当の高品質による質感が最大の特徴であり、販売価格をなるべく抑えるためにコストを抑えることが必要なトヨタ車に対して、コストをふんだんにかけた開発をするために内外装問わずに最新で最高の技術と、匠の技まで盛り込んだ高品質を可能にしています。

ドアの開閉音を心地よく感性を刺激するようにまで造りこんだり、独自の複層工程によりクルマの塗装を超越した、唯一無二の色へと昇華されるレクサスカラーなど、高品質な車造りはもちろんですが、高い品質を保つための基準値設定自体がトヨタよりさらに高いというのもレクサス車の特徴です。

なぜ人気があるのか、その理由

高品質なレクサスの車自体の魅力も人気の要因ですが、その特徴ある接客方法にも定評があります。店頭では小笠原流礼法を基礎にした独自の接客マナーを徹底し、高級ホテルや百貨店のコンシエルジュからも研修を受けてサービスを展開しているほどです。また、納車時には記念写真撮影やノベルティグッズ贈呈などのセレモニーが行われ、納車後はレクサスが主催するコンサートやゴルフコンペなどのオーナー限定イベントへ招待するなどサービスも徹底しています。

また、レクサスは日本では環境への配慮、品質、サービス満足度などの評価は高いが、革新性というイメージが弱かったため、先進的なブランドイメージを強くする活動も積極的に行っています。

例えば、ブランド体験型施設の「LEXUS MEETS.(レクサスミーツ)」や「INTERSECT BY LEXUS – TOKYO(インターセクトベイレクサス東京)」では、クルマのショールームではなく、一緒に食事を楽しめるレストランやグッズショップなどを同じ空間に併設することで、よりレクサスが持つブランドイメージや、提案するライフスタイルの姿などを伝えやすい施設になります。

つまり、車そのものも接客方法を含めたアフターサービスも、他のディーラーとは違う特別扱いをすることで来店客や購入者を満足させることも人気を支える要因となっています。

また、車両本体価格からの値引き販売を原則として行わないことや、認定中古車の販売を積極的に行うことによってリセールバリューを維持するなど、ユーザーに損をさせないのも人気の秘訣ともいえます。

レクサスの車種構成

レクサスの車種構成は大きく分けて4つ。セダン、クーペ、コンパクトハッチ、そしてSUVとミニバンとなります。その全ての頭に”プレミアム”が付きます。また、トヨタ車と基本を同じくする車種とレクサス専用の車種があり、トヨタ車と基本を同じくする姉妹車種の方がやや多くなっています。
その中から特に人気のある車種をご紹介しましょう。

□セダン

レクサスセダンのフラッグシップはLS。レクサスを代表するプレミアムセダンで、メルセデスのSクラスやBMW8シリーズと並ぶ世界に通用する高級セダンですが、日本国内においては大きくなりすぎてかつてのような台数は出ていません。

そこで今最も人気があるセダンがESとなっています。初代はトヨタのクラウンの一クラス下に位置していたウィンダムと共通ボディでしたが、現在で全長が5m近くにもなるはクラウンを一回り大きくしたサイズに成長、クラウンや輸入車からの乗り換えも多い人気車種となっています。ちなみに2019年5月の登録台数は1,009台となっており、シビックやプレミオを上回っています。

その性能や装備を含めてライバルの輸入車より圧倒的に安いことも人気を後押ししています。その他の車種も、国産車と比べると割高であっても、同クラス同装備の輸入車と比べると割安感さえあります。そしてなによりも国産であるが故の安心感が輸入車との差別化となっています。

□SUV

最近、特に人気が出ているのはやはりSUVです。レクサスには、RX、LX,NX,そしてUXといったトヨタブランドを上回るSUVラインナップがあり、中でも最新モデルのUXは390万円からというレクサス製SUVとしては安価なこともあり、セダンのESに次ぐ販売台数の多い車種となっています。なお、UXは2019年5月の登録台数は983台となり、マツダのCX-3を上回りホンダのCR-Vに迫っています。

□レクサスF

レクサスのもう一つの顔であるスポーツモデルのレクサス・Fは、富士スピードウェイの頭文字に由来する、レクサスの高性能車です。FにはLFA、F、F SPORTの3段階にに分けられており、LFAは「究極の走りを体現したFの頂点」、Fは「数々の専門設計で走る喜びを際立たせたプレミアムスポーツ」、F SPORTSは「専用チューニングなどFのエッセンスを継承」とチューニングや専用の仕様ごとに定義付けされています。

すでに生産を終えたスーパースポーツの「LFA」を頂点に、RC F、GS Fがあり、ほとんどの車種にF SPORTがラインナップされ、各モデルを牽引する人気車種となっています。

レクサスの今後

確かにブランド力という点ではメルセデスやBMWといった老舗メーカーにはかなわないかもしれませんが、着実にそのブランド力は浸透しており、「レクサス」に乗っているというだけで一目置かれる存在になりつつあります。しかし、今後も順風満帆という訳には行きません。まず、レクサスには世界がその方向に急激に向かっているEVの設定がありません。

本体のトヨタも同様ですが、ハイブリッドは全車種に設定されていますが、EVに関しては予定も聞こえてこないのです。もちろん、その開発力であれば一気に展開することは可能ですが、これからのプレミアムブランドにとってこのような新技術は新たなステータスとなるために、出遅れは痛いものがあります。完璧で高性能を目指すという事も重要ですが、まずは一車種世に出すこともブランドイメージのためにも必要なことだと思います。

[ライター/田中秀雄]