レクサスで一番最初に発売されたクーペ「SC」がおすすめな理由とは

北米で1991年に発売開始され、2010年で販売終了されたレクサスで一番最初に発売されたクーペです。国内外周りの声としては日本から高級車ブランドを展開していくのは無理と言われ続けていましたが、北米で無事成功を収めた第一号と言っても過言ではありません。その証拠としてアメリカのCar and Driverで毎年最高の車をランク付けする10Bestに4年連続でSCが選ばれ、Motor Trendが主催して行われているMotor Trend Car of the Yearを受賞したりと取り上げられていました。こうやって北米でSCが高評価を受けたことによって、レクサスは高級ブランドとして確立し進化を遂げていくことができました。そんなきっかけとなったSCはどのような車だったのでしょうか。

Sports Coupe

SCはSports Coupeの頭文字をとって名付けられました。その名の通りエクステリア、性能と共にスポーティさに重点が置かれています。レクサスはとにかく北米でいかに売れるかを念頭に置いていたので、とにかく彼らが好きな車、求める車を忠実に作ったのがSCと言えると思います。さらにそれは評価にも反映されておりJDパワーによる米国自動車初期品質調査では2004年から2006年までプレミアム・スポーティー部門の一位、米国自動車耐久品質調査では2006年から2009年までプレミアム・スポーティー部門の一位を獲得しており社会から見ても納得できるスポーティーさ、安全、品質だったことが伺えます。

日本での販売展開

北米で販売されたタイミングで日本でも販売されていましたが、トヨタのソアラとして販売され始めました。というのもまだ1991年はレクサス自体がまだ日本で開業されていなかったので、そのような売り方となったのです。ちなみにそのソアラの3代目として最初に販売され、4代目と続けて、2005年に日本でレクサスが開業したことをきっかけにSCとして日本でも販売されるようになりました。SCとなったけれどソアラの延長って感じなんじゃないの…?と思ってしまいそうですが、レクサスはソアラとSCとの区別を図るため様々な工夫をしています。まずエクステリアはL-finesse、レクサスの共通新デザインコンセプトを反映させることでレクサスらしさを色濃く出しています。リアコンビネーションランプにはLEDが使われインテリジェントAFSも採用されており、フロントグリルも新しいデザインになっています。見比べると大分レクサスのオーラが放たれているように感じます。

しかし実はエンジンはソアラと同じ3UZ-FE型のままになっており、エンジン自体のスペックなどは変わりありません。しかしながら全く同じというわけではなく、シーケンシャルシフトマチックに変化させたり、ATを6速にアップさせています。またボディ剛性も高められています。オープンカーって基本的には剛性が弱まってしまうと思われがちですが、それをカバーできるようフロアの素材を厚くして、剛性を初代よりも40パーセント以上高くするなどとオープンカーは柔になりやすいというマイナス点をカバーしています。そしてカラーの選択肢を広げたのもソアラとの違いです。ボディは11カラー、インテリアではドアトリムとシートがエクリュ、ノーブルレッド、ブラック、キャラメルの4色になり、本木目パネルのカラーも選べるようになれました。これでより自分の好みに近いデザインが作れるようになりました。

初代モデルはクーペ、2代目はコンバーチブル

SCは初代モデルはクーペ、そして実は2代目はコンバーチブル、クーペカブリオレだったのです。コンバーチブル自体がレクサスでは珍しく、ISとこのSCのみとなっています。しかしISは1999年から現在まで長い間販売されていながら5年と短い間にコンバーチブルを発売していたのに対し、SCは約20年の中でちょうど初代と2代目はほぼ同じ10年間販売されておりコンバーチブル とクーペが同じくらいの存在であるのはかなり珍しいモデルであることが伺えます。

そして何と言ってもこのコンバーチブルで注目すべきなのが、このコンバーチブル のハードトップは全てボタンで動かせる電気モーター式ですが、これはなんとこのSCが世界で初めての全自動式のハードトップのコンバーチブル なのです。それまで一部が電動でも結局はどこか人の手でオープンにしなくてはなりませんでしたが、完全に全自動化させたのはレクサスが初めてでした。そのために小型のモーターが10個搭載されており、なめらかで素早くスマートな開閉を実現させたのです。

初代も2代目も4人乗りではありますが、特にコンバーチブルはほぼないものだと捉えた方が良いです。あくまで補助的な役割で、大人4人乗りで普段使うのは後部座席ではかなり苦しいです。もちろんフロントシートは乗り心地抜群です。程よい柔らかさのシートに包まれて、長時間の運転でも疲れにくく快適な運転を楽しめます。そしてトランクは意外にも容量があり、ゴルフバック1個を収められます。

モータースポーツでも活躍

SCはサーキットでも目覚ましい活躍を果たしました。トヨタのスープラの後継として登場し、2006年から2013年の間SUPER GTに参戦していました。実はレクサスとしてモータースポーツの世界にも足を踏み入れたのはSCが初めてでした。スープラの後継と言っても、スープラ自体は2007年まで活動しており2年ほど時期が被っています。しかしスープラが撤退した後、GT500のトヨタワークスで出場していたのは全部SC430でした。さらに2009年からはトヨタワークスチームから、チームレクサスと完全にチーム名にもレクサスの看板がかかり勢いを増していきました。もちろん存在感だけではなく、きちんと結果も伴っており2006年にトムスの脇阪寿一とアンドレ・ロッテラー組が鈴鹿サーキットの開幕戦で飾った優勝がデビューウィンで、その後も2007年の鈴鹿サーキットの開幕戦でまたしても優勝、2009年にはトムス・セルモ・クラフトの各チームが1勝ずつ成績を収めています。SCはモータースポーツの世界に進出まで遂げたレクサスの一番最初のモデルでもあるのです。2014年にRC Fにベース車両を譲りSCはサーキットから撤退しました。

最後は特別仕様車

2010年頭にレクサスはSCの生産を終了すると発表しました。そしてそれと同時にThe Eternal Jewelと呼ばれる特別仕様車が販売されることになりました。これは200台限定だった上にエクステリアではボディとルーフでカラーコントラストが6種類も選択できるようになっており、インテリアでも14種類で組み合わせて、その上にシリアルナンバープレートまで装着されるので世界にたった1台という実感があります。またオーナメントも専用の木目が施されており、キー一体マルチファンクションワイヤレスドアロックリモートコントロールも専用のオーナメント仕様となっています。SCの中で唯一の特別仕様車です。

レクサスSCのまとめ

日本においてSCとしての歴史はそんなに長くはなかったですが、ソアラが販売されてからSCが販売終了するまで30年近くの長い歴史があります。というのも大型2ドアラグジュアリークーペは実はトヨタとしてもソアラが初めてで、この約30年で区切りをつけた後、LCが誕生するまでおよそ7年間大型2ドアラグジュアリークーペは販売されないことになりました。

レクサスのみならず、トヨタにおいてもSCは性能、エクステリア、社会からの評価においても歴史に名を残す1台ということが分かります。とは言っても現在とは大分様相は違いますが、これはこれで味わいがあり、決して古臭さは感じさせません。もう販売は終了してしまいましたが、まだ中古車市場で多々見かけることができます。高いものだと350万円ほどと価格を保っていますが、手が届きやすい値段になっています。そしてだんだんと希少性も高まっており、街中で走っていると人目を浴びるというオーナーの声が多数です。レクサスにおいても、トヨタにおいても貴重なモデル、是非機会があれば乗って欲しいと思います。

[ライター/A. Oku]